2025年2月15日(土) 14:15~18:00
場 所:エーザイ㈱大阪コミュニケーションオフィス33階A会議室
座長 奈良学園大学リハビリテーション学研究科 西川 隆
プログラム
■14:30-15:30
教育講演
「失語症の理解のために――自動言語の話」
菰野聖十字の家診療所 波多野 和夫
(プログラム後段に講演抄録)
■15:30-16:15
「時間知覚の歪み : 体内時計の遅延と時間見積もり障害に関する検討」
京都民医連あすかい病院 リハビリテーション部 外池 昂志 中井 俊輔* 小川 朋子
大阪公立大学大学院 リハビリテーション学研究科*
京都民医連あすかい病院 神経内科 那須 徹也 磯野 理
■16:15-16:30
コーヒーブレーク
■16:30-17:15
「脳出血後に神経心理学的検査と 家族の行動評価に解離が目立った症例」
京都岡本記念病院リハビリテーション部 木本 祥子
■17:15-18:00
「発声はみられるが、音声言語を使用せず誤った身振りで意思伝達しようとする
重度混合型失語症の一例」
友紘会総合病院 リハビリテーション科 坂井 麻里子 勝田 渚乃
滋賀県立総合病院 精神科 鈴木 則夫
共催 近畿高次神経機能研究会/エーザイ株式会社
教育講演 抄録
「失語症の理解のために――自動言語の話」
菰野聖十字の家診療所 波多野 和夫
近代的な失語症研究は「ヴェルニッケ・リヒトハイムの図式」(1885)からはじまるといってよい。言語については、その機能中枢が脳内に複数あって、これらを神経路がつなぎ合わせて連絡することによって機能するという、神経学的な理解を基盤にしている。失語症は、これらの中枢が損傷を受けるか、連絡路が切断されるかによって生じると理解された。この考え方は現在でも失語学の基本であり「古典論」と呼ばれる。
この考え方は19世紀という科学の時代の偉大な成果であったが、その後ほどなくいろいろな反論が提出された。ちなみに、反論が出るということ(反証可能性)が科学であることの証である、という考え方がある。たしかに物事の説明に、神や仏を持ち出されては反論のしようがない。
言語と失語のすべてを理解できるはずの神経学的な古典論(ヴェルニッケ・リヒトハイムの図式)に対しては、これでは説明できないという失語現象が次々に話題に上がった。その重要なテーマが自動言語の問題であった。「再帰性発話」はその最たるものであり、その後、これを研究テーマにする人はほとんどいなかった。結局、半世紀もブランクがあって、ようやくアラジュアニヌ(1956)が再帰性発話の問題を論じた。
自動言語は失語症の言語症状の重要な一つであるいう考えを具体化したのはペック(1982)とその一門のアーヘン学派である。彼らは、「離断症候群学説」を主張してヴェルニッケ・リヒトハイムの図式を復興しようというゲシュヴィント(1965)に対して論争を試みた。
自動言語の問題については、心理・言語学的な、あるいは発達・進化学的な、さまざまなアプローチが必要であると思う。神経学的に理解できれば、それはそれで結構ではあるが、「言語野孤立仮説」のように、どうも無理を重ねることが多いように思える。そういうことを「空語句」や「同時発話」の現象を手がかりに考えてみたいと思う。
