第71回 演題募集のご案内

 

開催テーマ

「症状を環境適応の必要性という観点から見直す」

第71回研究会の当番世話人を務めます西川隆です。

2025年は日本で初めて頭部CT が東京女子医大に臨床導入された1975年からちょうど50年の節目に当たります。当時私は大学生でしたが、ポリクリ担当の教官がCTフィルムをシャウカステンにかざしつつ、「生きた人間の脳みそが見られる時代になった」と興奮まじりに解説されていた情景が鮮明に思い出されます。1977年の失語症学会(現高次脳機能学会)ならびに神経心理学会の発足とその後の神経機能研究の隆盛は画像技術の進歩と終始歩調を合わせるものでした。

精神医学を志していた私は、そうした時代背景と人々との縁あって脳機能を学ぶことになりましたが、半世紀近い年月を経た今、少なからず反省しているのは、症状を脳機能に還元することで「証明終わり、以上」という思考停止に陥っていなかったか、ということです。

横断的な心理・行動現象の基盤に脳機能があることは間違いありませんが、その脳機能のさらに根底となる基盤には、それに先立つ系統進化と個体発達における縦断的な心理・行動の蓄積があるのであり、脳機能は所与の原因ではなく、環境に対する生体の適応過程の可変的な一断面にすぎないという見方が必要と思われます。健全な脳も、損傷を受けた脳も、環境に適応しようとする生体の努力を反映した機能を有するはずであり、あらゆる神経心理症状にそうした側面を見出して努力を援助することこそが医療者の役割であると思われます。

症例を募集いたします。高次脳機能の症例ということのほか対象は特に限定せず、一筋縄では理解できない、矛盾だらけの症例を大歓迎いたします。症例を提供いただける方は、事務局の田中裕先生か私に御一報いただければ幸いです。

また、今回の研究会では、波多野和夫先生に教育講演をお願いしております。

波多野先生はさまざまな高次脳機能の病態に関して常に刺激的な新しい観点をわれわれに開示してこられましたが、今回は、高次脳機能研究の先達として若い人達のために有益なお話を御自由にしていただくようお願いしております。

来たる令和7年2月15日の近畿高次を、乞う御期待のほど。

当番世話人 

奈良学園大学リハビリテーション学研究科

西川 隆

近畿高次神経機能研究会事務局
田中 裕
Tel&FAX:0745-45-1916

2024年12月19日 | カテゴリー : アーカイブ | 投稿者 : kinkikouji